川口克己さんインタビュープロカツ
- プラモデルに捧げた青春時代
川口克己さんプロフィール
プラモデルに捧げた青春時代
輿石:インタビューさせていただく、慶應大学文学部1年輿石静誼(こしいししずみ)です。よろしくお願いします。
川口:川口克己です。よろしくお願いします。
輿石:まず、川口さんの現在担当されているお仕事を聞かせてもらっていいですか?
川口:私は今ホビー事業部っていう、プラモデルを扱っている部署にいます。バンダイではいろんなキャラクターの商品、おもちゃを中心にやっているんですけど、その中のプラモデルってことで、ガンダムってご存知ですか?
輿石:はい。
川口:ガンダムのプラモデルが今年で生誕30周年ということで、特に力をいれてやっています。主にインターネットを使って、情報を発信するところでの業務という、どちらかというと広報的な仕事が多いですね。
輿石:おもちゃメーカーにはどのような仕事があるんですか?
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川口:職種でいうと、商品を開発する人間がいます。それから、実際に商品を製造する人達がいます。それを販売する人達がいます。ですから、商品を考えるところから始まって、作る、販売するっていうところまで全部やっている訳です。
そういう意味では本当に、「これが作りたい!」っていう人だとか、「おもちゃが好きなので実際に販売することに携わってみたい」といった人達が集まって、頑張っています。
輿石:川口さんがガンプラに携わった経緯を聞かせてください。
川口:細かい話になってしまうんですが、番組の放送中は高校3年生でしたが、「ガンダムすげーなー」って仲間内で話してたんです。ですが、当時ガンダムのプラモデルって世の中になくて、それまでは飛行機だとか戦車だとかそういったプラモデルをずっと作ってたんです。「じゃあ、ないものは自分たちで作っちゃおう」っていう事で(笑)いろんな方とお付き合いがあったので、模型誌さんを紹介してもらったのもキッカケになって自分たちでガンダムを勝手に作り始めました。
その後、商品が出てからは作品を作って専門誌に掲載したり、プラモデルの見本市の大会でメーカーの試作品やサンプルを作る仕事が回ってきたりとか、そういった事をさせていただきながら、業界に近いところで4年間やってた感じですね。
輿石:その中でのコネクションを使わず、一般でバンダイに入社されたと聞いたんですが。
川口:もちろん顔見知りの社員の方はいました。バンダイのプラモテルの工場が静岡にありまして、どちらかというと東京より静岡のほうの社員の方と関係があったんですけど、親身にしてくれた方が「川口くん就職どうするの?」って心配してくださって(笑)それで、バンダイ受けようかなって思うんですけど、「それならちゃんと書類出して受けなさいよ」っていうことで。
当時、学生の間で「バンダイは、マニアは採らない」っていう噂があって、多分真実に近いと思うんですけど(笑)そういう噂が流れてて、モデラーとしての活動は、面接の時を含めて一切言わなかったですね。だた、もちろん知ってる人もいらっしゃったので、入社してからは「やっぱり来たのか」みたいな話はいただきましたけど(笑)
輿石: マニアっていうのを隠して…(笑)
川口:言わずに(笑)ですから同期でも、僕がそういうことをやってたって知っていたのは、プラモデルを趣味にしていた人くらいで、他はほとんど知らなかったですね。
輿石:根本的な質問になるんですけど、そもそも模型制作に興味を持ったキッカケや理由はなんだったんですか?
川口:子供のころから、模型に限らずモノを作るのが好きだったんです。それこそ幼稚園・小学生の頃、まだ貧しい時代なので今みたいに遊びの選択肢自体が少なかったんですが、粘土だったりとかブロックだったり、とにかく作るっていうのが好きだったんですよね。
小学校に上がってお小遣いを貰うようになってから、学校の近くの駄菓子屋さんとか文房具屋さんに売ってる50円とか100円の今で言う食玩のオマケみたいな簡単なプラモデルですね。そういうところから始まって、最初は車だとか船だとかそういうのを作ってました。逆に、音楽とかには縁がなくて、どっちかっていうと技術系です(笑)
輿石:技術系(笑)そこから模型制作に興味を持って、今に至るっていう感じですね。
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川口:そうですね。当時、男の子の趣味っていうと必ず1度は経験するものだったんですよ。クラスの中にもプラモデルが好きな友達もいたんですけど、少しずつ卒業していくんです。でも、卒業できずにずーっと残っちゃったんです(笑)
受験の時なんかはさすがに少し止めてた期間はありますけど、後は本当に中学校・高校・大学とずっとですね。
輿石:そういう時期を過ごして、バンダイに入社されたんですね。
川口:そうですね。バンダイに入ってもう20…あれ!? 85年入社だから…(笑)えーと、25年?になるんですけど、そのうち3分の2くらいはずっとホビー事業部ってとこにいるんですね。
で、会社に入ってからも商品開発やったりとか、いろんな形でホビー事業にかかわる仕事をやらせていただいて、そういう意味ではホントに、社内外で「ガンプラの人」っていうイメージで見られていると思います(笑)自分でもそのつもりで仕事をさせてもらっているような感じですね。